育休を取ると、賞与・評価・退職金に影響が出ることはあります。
ただし、先に結論を言うと、
「育休を取ったから一律で不利になる」わけではありません。
一方で、会社規程しだいで、一定の調整が入ることはあります。
ここがややこしいところです。
厚生労働省の規定例や不利益取扱いの資料では、
休業して実際に働かなかった期間を、賞与や退職金の算定で「働かなかった期間」として扱うこと自体は直ちに違法ではない とされています。
一方で、休業期間を超えて不利に扱うこと や、育休を申し出た・取ったことだけを理由に、賞与・退職金を減額したり、不利な評価をしたりすること は不利益取扱いに当たり得ます。
つまり、最初に持つべき答えはこれです。
影響はあり得る。
でも「何でも会社の自由」ではない。
最終的には、就業規則・賞与規程・退職金規程・評価制度を確認することが大事。
まずはこの4つだけ見れば大きくズレない
育休前に、賞与・評価・退職金でまず見るべきなのはこの4つです。
- 賞与の算定対象期間
- 評価・昇給のタイミング
- 退職金の勤続年数の扱い
- 会社規程にどう書いてあるか
ここを見ないまま、
- 育休中でもボーナスは満額だろう
- 評価は絶対に下がらないはず
- 退職金には影響しないだろう
と考えると、かなりズレやすいです。
逆に、
- 育休を取ったら全部不利になる
- 賞与はゼロになる
- 昇給も止まる
- 退職金も大きく減る
と決めつけるのもズレます。
1. 賞与はどうなる?
賞与は、会社ルールの影響がかなり大きいです。
厚生労働省の規定例では、
賞与について、その算定対象期間に育児休業をした期間が含まれる場合は、出勤日における勤務成績などを考慮して計算した額を支給する という例が示されています。
また、解説では、算定対象期間の途中で育休を開始・終了した人の賞与を、出勤日数で日割り計算する ような規定例も示されています。
つまり、賞与は雑に言うと次の3パターンがあります。
- ほぼ通常どおり出る
- 一部調整される
- 算定対象期間との関係でかなり少なくなる
ここで大事なのは、
支給月ではなく、算定対象期間を見ること です。
たとえば6月支給の賞与でも、
見ているのは前年冬〜春の勤務かもしれません。
なので、「ボーナス月に育休中かどうか」だけで判断するとズレやすいです。
2. 評価や昇給はどうなる?
ここは読者がかなり不安になりやすい部分です。
厚生労働省の不利益取扱いの資料では、
育休の申出や取得をしたことのみをもって、賞与や退職金を減額すること、
昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行うこと は問題になると示されています。
さらに、休業期間を超える一定期間、昇進・昇格の選考対象にしない ような制度は、不利益な評価に当たり得るとされています。
一方で、厚労省の規定例では、
定期昇給は育休期間中は行わず、復職後に昇給させる、
あるいは復職後の昇給で休業前の勤務実績を加味して調整する といった例も示されています。
つまり、評価や昇給の結論はこうです。
実際に働いていない期間を前提に、一定の調整が入ることはあり得る。
でも、育休を取ったこと自体だけで不利にするのは別問題。
ここを分けて見るのが大事です。
3. 退職金はどうなる?
退職金も、会社規程の差が大きいです。
厚生労働省の規定例では、
退職金の算定に当たって、育児休業をした期間を勤務したものとして勤続年数を計算する 例が示されています。
一方で解説では、会社の規定例として
- 育休期間の2分の1を勤務したものとして勤続年数に算入する
- 育休前後の勤続期間は通算するが、育休期間そのものは勤続期間に算入しない
といった例も示されています。
つまり、退職金については、
「絶対に影響しない」とも言えないし、
「必ず大きく減る」とも言えません。
本当に見るべきなのは、自社の退職金規程です。
ここは想像で判断しない方がいいです。
4. 違法になりやすい線引きはどこか
ここを押さえておくと、かなり見やすくなります。
厚生労働省の資料では、
休業等により労務を提供しなかった期間を、働かなかったものとして扱うこと は直ちに不利益取扱いではないとされています。
たとえば、賞与や退職金の算定で、休業期間を日割りで算定対象期間から控除すること などは、その例として挙げられています。
ただし、
- 休業期間を超えて働かなかったものとして扱う
- 申出や取得をしたことだけで賞与や退職金を減額する
- 申出や取得をしたことだけで不利な評価をする
こうした扱いは問題になります。
だから、見るポイントはシンプルです。
「実際に働いていない期間に応じた調整」なのか、
「育休を取ったこと自体へのペナルティ」なのか。
この違いです。
5. 会社に確認するとき、どこを見ればいい?
ここはかなり実務的に大事です。
厚生労働省の規定例では、
本人や配偶者の妊娠・出産等の申出があったとき、会社は個別に
育休制度、申出先、給付、社会保険料、そして休業中・休業後の待遇や労働条件 などの周知と意向確認を行う例が示されています。
つまり本来、賞与・評価・退職金まわりも確認対象に入ってよい領域です。
確認するときは、最低限この5つで十分です。
- 賞与の算定対象期間はいつか
- 育休期間は賞与計算でどう扱うか
- 昇給・評価の時期と扱いはどうなるか
- 退職金の勤続年数はどう計算するか
- その根拠が就業規則・賞与規程・退職金規程のどこにあるか
ここまで見えると、かなり不安が減ります。
6. 一番やらない方がいいのは「たぶん大丈夫」で進めること
このテーマは、制度の一般論だけ聞いて安心しやすいです。
でも実際は、
- 賞与は会社差が大きい
- 昇給・評価も運用差が出やすい
- 退職金は規程を見ないと読みにくい
ので、一般論だけで家計前提を組むのは危ないです。
特に、
- ボーナス払いの固定費がある
- 会社の評価制度が年収に効きやすい
- 退職金を含めて長く勤める前提がある
こういう人ほど、
「たぶん大丈夫」ではなく「規程を確認した」 に変えた方がいいです。
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まとめ
育休を取ると、賞与・評価・退職金に影響が出ることはあります。
ただし、その見方はかなり大事です。
- 賞与は、算定対象期間と会社規程で変わる
- 評価・昇給は、一定の調整はあり得るが、育休を取ったこと自体だけで不利にするのは別問題
- 退職金は、勤続年数への算入方法が会社で分かれる
そして、厚生労働省の考え方としては、
休業して働かなかった期間を、そのまま働かなかった期間として扱うこと自体は直ちに違法ではない一方で、
休業期間を超えて不利に扱うことや、申出・取得だけを理由に不利益を与えることは問題です。
だから結論はシンプルです。
「影響はあり得る。でも何でもありではない。」
想像ではなく、規程を確認する。
これが一番ズレにくいです。
次に読む|男性育休前に会社へ確認すべきこと
賞与・評価・退職金まで気になり始めたら、次は
会社に何を確認すれば漏れにくいか
を整理しておくと進みやすいです。
