夫が育休を取ると、世帯収入は多くの家庭で
「夫の給与の一部が、給付金に置き換わるぶんだけ下がる」
という形になります。
夫側の育児休業給付は、原則として
育休開始から180日までは休業開始前賃金の67%、181日目以降は50%です。
しかも、給付は非課税で、育休中は一定要件で健康保険料・厚生年金保険料が免除されるため、67%期間は手取りベースで8割程度の見え方になります。
さらに現行制度では、一定要件を満たすと最大28日間は13%上乗せされ、対象期間は**合計80%(手取り10割相当)**になります。
なので、最初に答えをひと言で言うと、
世帯収入は減る。
ただし、「夫の収入が世帯の何割を占めているか」 と
「妻の収入がその期間どうなるか」 で、しんどさはかなり変わります。
この記事では、
夫が育休を取ると世帯収入はいくら減るのか を、家計でズレにくい形で整理します。
世帯収入の減り方を決めるのはこの3つ
世帯収入の見え方は、まずこの3つで決まります。
- 夫の収入が、世帯収入の中でどれだけ大きいか
- 妻が通常勤務なのか、産休・育休中なのか
- 育休が180日以内なのか、それを超えるのか
つまり、同じ「夫が育休を取る」でも、
- 妻が通常どおり働く共働き家庭
- 妻も出産・育休で給与が変わる家庭
- 夫の収入依存度が高い家庭
では、体感がまったく違います。
ここを一緒くたにすると、かなりズレます。
これは、夫側の給付率と、妻側の出産手当金・育休給付の仕組みを合わせて見たときの実務上の整理です。
1. 共働きで、妻の収入が通常どおり入る家庭
このケースは、世帯収入の見え方が比較的わかりやすいです。
妻の給与が通常どおり入るなら、
世帯収入で減るのは、基本的に夫側の減少分です。
夫側は、
- 最初の180日までは給付率67%
- それ以降は50%
- 一定要件なら最大28日間は80%相当
という形なので、
世帯全体で見ると
「夫の収入の一部だけが置き換わる」 イメージになります。
このため、共働きで妻の収入が維持される家庭は、
世帯収入ベースでは“思ったより下がりすぎない”こともあります。
これは、夫の収入がゼロになるのではなく、給付で一定程度置き換わるからです。
ただし、夫の収入割合が大きい家庭では、そのぶん世帯収入の下がり幅も大きくなります。
ここは制度そのものというより、家計構造の差による違いです。
2. 妻も産休・育休中の家庭
ここは、世帯収入が下がりやすいケースです。
妻本人が健康保険の被保険者で、産前産後に会社を休んで給与の支払いがない場合は、
出産手当金が原則として1日あたり標準報酬日額の3分の2相当 支給されます。
その後、一定要件を満たせば、妻側にも育児休業給付金が支給されます。夫側と同様に、こちらも原則として**180日までは67%、その後は50%**です。
なので、夫婦ともに休業に入る家庭では、
夫だけが育休を取る家庭より、世帯収入は下がりやすいです。
ただし、ここも誤解しやすいところで、
夫婦ともに給与がゼロになるわけではありません。
出産手当金や育休給付で一定程度は補われます。
それでも、通常のフル給与が2人分入る時期と比べれば、世帯収入が落ちやすいのは自然です。
これは、各制度の給付率から見た当然の帰結です。
3. 片働き、または夫の収入依存度が高い家庭
このタイプは、世帯収入の下がり方を甘く見ない方がいいです。
妻の収入がない、または少ない家庭では、
夫の収入減がそのまま
世帯収入の中心部分の減少
になりやすいからです。
夫側の給付は、最初の180日までは67%、その後は50%です。
一定要件で最大28日間の上乗せがあるとはいえ、
それがずっと続くわけではありません。
そのため、このタイプの家庭では、
- 生活費の固定費が重い
- ボーナス依存が強い
- 住宅ローンや家賃負担が大きい
といった条件があると、
世帯収入の減少がそのまま家計不安に直結しやすいです。
ここは制度理解というより、家計設計の問題です。
4. 一番ズレやすいのは「夫の収入減」だけで考えてしまうこと
このテーマでよくあるズレは、
夫の給与が何割減るか だけで判断してしまうことです。
でも本当に見るべきなのは、
世帯のうち夫が何割を担っているか です。
たとえば、夫の手取りが減っても、
- 妻の収入が通常どおりある
- 出産手当金や妻側の育休給付が入る
- 夫婦ともに一部の期間は手取り10割相当の給付が使える
という条件がそろえば、
世帯収入ベースでは思ったほど崩れないこともあります。
逆に、夫の収入が世帯の大半を占める家庭では、夫側の給付率がそのまま家計の苦しさに近づきます。
これは、各制度の支給構造から見た家計上の読み方です。
5. 世帯収入で見るなら、「何%減るか」より「いつ苦しくなるか」が大事
ここも大事です。
世帯収入の話になると、
どうしても
いくら減るか
に目が行きます。
でも実際の家計では、
どの月が苦しいか の方が重要です。
理由はシンプルで、
- 給与は毎月の生活費に直結する
- 給付金は給与と同じタイミングではない
- ボーナスや固定費の支払い時期も家庭ごとに違う
からです。
つまり、世帯収入で本当に見るべきなのは、
年間でいくら減るか だけではなく、
月ごとに家計が持つか です。
これは制度上の給付率の話というより、
家計実務としての重要ポイントです。
6. 迷ったら、まずこの3パターンで考えると分かりやすい
世帯収入の見え方は、まずこの3パターンで整理すると分かりやすいです。
パターン①|共働きで、妻の収入が通常どおり
→ 世帯収入は夫側の減少分だけ下がるイメージ。
比較的、設計しやすい家庭です。
パターン②|妻も産休・育休中
→ 世帯収入は下がりやすい。
ただし、妻側にも出産手当金や育休給付があるため、
「無収入」前提で見ない方がズレにくいです。
パターン③|片働き、または夫の収入依存度が高い
→ 夫の収入減が、そのまま世帯収入減に近くなりやすい。
固定費の重さまで含めて先に見た方が安全です。
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まとめ
夫が育休を取ると、世帯収入は基本的に減ります。
ただし、その見え方は
夫の給付率だけ では決まりません。
制度上、夫側の育休給付は
- 180日までは67%
- 181日目以降は50%
- 一定要件なら最大28日間は80%相当
です。
給付は非課税で、育休中は社会保険料免除もあるため、67%期間は手取りベースで8割程度の見え方になります。
でも、世帯収入で本当に大事なのは、
- 夫の収入が世帯の何割か
- 妻の収入が通常どおりか、産休・育休中か
- 月ごとの家計が持つか
です。
だから結論はシンプルです。
「夫の収入が何割減るか」だけで見ないこと。
「世帯の中で、どの収入がどう変わるか」で見ること。
これが一番ズレにくい見方です。
次に読む|育休前に夫婦で決めるべきお金のこと
世帯収入まで見えてきたら、次は
夫婦で何を先に決めておくべきか
を整理すると、一気に進みやすくなります。
